事例紹介

【 第4回 】 株式会社 戸上電機製作所 様

通信教育

  • フォアマン・コース

佐賀生まれの技術で目指す「社会を、地球を、未来を豊かに。」

「スイッチのTOGAMI」と称され、配電・制御機器の総合メーカーとして配電用高圧開閉器の分野でトップシェアを守り続けている株式会社戸上電機製作所様。JR佐賀駅にほど近いその本社社屋は、創立時の大正14年に竣工したと推定される趣のある木造3階建ての近代洋風建築物です。第6回佐賀市都市景観賞を受賞したこの建物は、細部にまで行き届いた維持管理によって建築当時の美しさを今でも保持しており、ここにもその実直果敢な企業風土が表れているようです。
昨年、今後の積極的な海外での事業展開に対応すべく、人財育成制度の見直しをされました。見直し後も、幣スクール提供のフォアマン・コースは、引き続き監督職になるための昇格要件としてご活用頂いています。
今回は、人事グループ研修センターのセンター長の米光敏彦様とリーダーの末次真美様に、色々とお話を伺いました。

取材日:2018 年2月
※ 記事中の役職・記事内容等は、取材当時のものです。

電気の安定供給を支える企業から、創意と工夫をもって、様々なニーズへお応えできる企業を目指す

【写真左】
株式会社戸上電機製作所
管理本部人事グループ研修センター
センター長 米光 敏彦 様

【写真右】
株式会社戸上電機製作所
管理本部人事グループ研修センター
リーダー  末次 真美 様

当社は初代社長の戸上信文が発明した「配電線用昼夜間自動切替開閉器」の製造販売を目的に、大正14年3月12日に創立いたしました。戦前に創立した企業において、創立記念日がきちんと日にちまで確認できる企業は珍しいようです。
「配電線用昼夜間自動切替開閉器」というのは、簡単には、電力の流れを変えるための切替スイッチといえます。当時は発電総量がまだ少なかったため、昼間は工業用としてのみ電力を供給し、夜間は一般家庭に供給していたようです。つまり、毎日朝晩2回、送電の切り替えを行う必要がありました。その手動で行っていた送電の切り替え作業の自動化を実現した画期的な機器が「配電線用昼夜間自動切替開閉器」です。
以来、戸上電機製作所は、各電力会社や高圧需要家で使用される開閉器などの電力システム機器やシステム全体、また探査・測定機器など、電気エネルギーの安定供給のために必要な機器やシステム構築などの企画開発から製造販売までを、一気通貫に事業展開をしてまいりました。創業者が発明者だったこともあり、開発から販売まで自社で行っているということが当社の強みです。そのため、創業当時は開閉器のみでしたが、お客さまからのニーズにお応えしていく内に、さまざまな商材が誕生していくこととなったのです。「お客さまが最大に満足される商品を提供します」という品質方針には、信頼される品質の実現は勿論のこと、お客さまのニーズへの的確な対応も含まれています。

その一例が、当社で開発した河川水や産業廃水を浄化する水処理システム機器です。実はこれは、佐賀県の海苔業者様からのご相談がきっかけとなっています。今までの事業領域とは全く異なる、全く経験のない分野のシステム開発でしたが、地元佐賀に貢献したいという強い意志の元、試行錯誤を繰り返し、商品化に成功しました。現在、この水処理システム機器は海苔養殖業だけでなく、畜産業や高速道路のサービスエリアでも導入されており、これからの地球環境保全に寄与できる事業として、当社でも期待しています。

このように、お客さまのニーズを汲み取り、当社の技術力とノウハウを活かして最大にご満足頂ける品質を提供することを心掛け続けた結果、当社の方針を評価して、価格は二の次で、品質で当社製品をご指名いただくことも多くあり、大変嬉しく思っています。

これからのTOGAMIを担うあるべき人財像を定義、三本柱の人材育成戦略で丁寧な育成を実現

当社では、この度の人財育成制度の見直しにあたって、まずはこれからのTOGAMIを担うあるべき人財像を、以下の6つの要素として定義しました。

① 自ら考えてスピーディーに行動する人財
② 責任感、使命感のある人財
③ 変化に対応し、意欲的に挑戦する人財
④ コミュニケーション能力を発揮し、組織を牽引する人財
⑤ 知識・技能を活用し、課題解決力のある人財
⑥ グローバルに活躍できる人財

このあるべき人財像の育成を実現するための手段として、戸上電機製作所本社だけでなく、グループ会社の各社と一体となり、以下のような三本柱の施策に基づいて取り組みを進めています。

① OJT:スキルマップを活用し、社員の多能工化を目指す。また、小集団活動として改善活動を行い、年に一回は事例発表会を開催
② OFFJT:スキルマップの作成によって判明した足りないスキルを補うため、外部開催の短期・長期セミナーを活用。語学に関しては、フィリピンのマニラにある語学学校に選抜した社員を3か月間派遣して徹底教育
③ 自己研鑽:通信教育や資格取得の奨励・あっせん(費用補助制度有)

この三本柱の取り組みをそれぞれ丁寧に実施していくことによって、私共が考えるあるべき人財像に少しでも近い人財への育成を目指しています。これらの施策は決して目新しいことではありません。恐らく、どの企業でも実行しておられるかもしれませんが、こういった基本的なことをきちんと丁寧にPDCAとして回していくことが、大切なことであると考えています。

TOGAMIグループ全体での共通の言葉づくりに役立つフォアマン・コース

永年活用している日本マネジメントスクールのフォアマン・コースは、人事制度の昇格要件の一つとして活用しています。「監督職」といういわゆる現場リーダーになるために、このフォアマン・コースの修了が必須要件の一つとして課されています。年齢的には30~40歳代の社員が多く、新任監督職として今後の活躍を期待したい彼らにマネジメントに関する知識を体系的に学習してもらうために、フォアマン・コースはとても良い通信教育コースだと評価しています。
通信教育という学習方法は、集合研修と違って受講者数に人数制限がないところが研修担当としてはとても嬉しい点です。集合研修ですとどうしても参加者を選抜する必要があるため、なるべく大勢の社員に学習機会を与えるためにも、通信教育を有効活用するべきだと考えています。受講生自身にとっても学習時間を自らスケジュール調整出来ることがとても良い点でもあります。また、確実に自分自身で課題をやり遂げなくてはならないので、ある意味学習することに対しての強制力も働きます。これは集合研修では期待できない効果です。

そして何よりも、このフォアマン・コースの一番の魅力は、やはり課題レポートの解答方式が記述式であるということです。受講生自身ならどうするか、あなたの業務上ではどうするべきか、といった設問に答えるためには、ただテキストを読んで該当箇所を抜粋して丸写しするような学習では対応できません。テキストの内容をきちんと理解し、その上で日々の業務の振り返りを行い、対策を立てなくてはなりませんので、実務上での成長を直接的に促す上で非常に効果的です。実際、私自身が受講していた当時、目上の方との仕事上でのコミュニケーションに悩んでいたことがあったのですが、同じような事例がテキストで紹介されており、とても参考になったことがありました。
現在、当社だけでなく、グループ会社でもフォアマン・コースの受講を進めております。グループ内での人員の行き来などもあるのですが、同じコースを修了した社員同士だと、非常にやり取りがスムーズであるという現状があります。正しく「職場に共通の言葉づくりを進める」というフォアマン・コースの狙い通りです。

当社は来る2025年に創立100周年を迎えます。
電気の安定供給への貢献に加え、TOGAMIの誇る佐賀発の高い技術力で新しいモノづくりを続け、日本だけでなく、海外でも積極的な事業展開を行っていきます。
当社が誇る高い技術力が生み出す品質は、創立以来歴代の技術者たちが蓄積し続けているからこその賜物です。その技術力を更に高め、伝承していくために、グループ一丸となって、人財の育成に努めていきたいと思っています。

株式会社 戸上電機製作所 様

https://www.togami-elec.co.jp//

初代社長の戸上信文が発明した「配電線用昼夜間自動切替開閉器」の製造販売を目的に大正14年3月12日に佐賀県佐賀市にて創立。
責任分界点用開閉器ではトップシェアを誇るなど、配電・制御機器の総合メーカーとして事業を展開。
自社開発にこだわった高い技術力が実現する品質が評価され、「スイッチのTOGAMI」と称される。また、廃水や汚水処理を目的とする水処理システム機器も開発するなど、佐賀発の技術によって、グローバルレベルで社会と環境に貢献し続ける企業を目指す。